音楽用語 a tempoの意味を歌い手が詳しく解説
歌い手の風彩花火(ふうさいはなび)です
今回は音楽用語 a tempoの意味を説明します
音楽用語の「a tempo(ア・テンポ)」とは、楽譜で使われるテンポ(速度)に関する指示の一つで、「もとの速さで」「元のテンポに戻して」という意味です
イタリア語由来で、曲の途中で一時的にテンポを変えた後(例 👉 遅くしたり速くしたりした後)、直前の主なテンポに戻せという指示です
1. 語源と本来の意味
- イタリア語の「a tempo」 👉 「a(~に、~で)」+「tempo(時間、速さ)」で、「in time(時間通りに)」「at the (original) tempo」という意味
- 音楽では速度変化の「リセット」指示として機能します。rit.(ritardando)やrall.(rallentando)、accel.(accelerando)、rubatoなどで一時的にテンポを変更した後、それを終了して元の速度に戻す役割を果たします
- 単なる「速く戻せ」ではなく、自然に、音楽の流れを崩さずに元のテンポに復帰せよというニュアンスがあります
この用語は部分的な速度変更の終わりを示すもので、古典派以降、特にロマン派の作品で頻出します
2. 読み方と表記
- 読み方:ア・テンポ(a tempo)
- 表記:a tempo(最も一般的)。楽譜では速度変化の後(rit.やrall.の後など)に書かれ、新しいセクションやフレーズの開始点に置かれることが多いです
- 適用範囲 👉 指示が出た時点から、次のテンポ指示が出るまで(または自然に)元のテンポで演奏します
3. Tempo I(テンポ・プリモ)との違い
よく混同されるのが「Tempo I(テンポ・プリモ)」または「Tempo primo」です。両方とも「元のテンポに戻す」意味ですが、微妙に異なります
- a tempo 👉 直前の速度変化の前のテンポに戻す(比較的短い区間の変化後)。例:rit.の直前がAndanteなら、そのAndanteに戻す
- Tempo I / Tempo primo 👉 曲の冒頭(最初のテンポ指示)に戻す。より大規模なセクション変更や、複数のテンポ変化があった後に使われやすい。「最初の速さで」という明確な意味
簡単な覚え方
- a tempo → 「直前の主テンポに戻せ」(ローカルな復帰)
- Tempo I → 「曲の最初に戻せ」(グローバルな復帰)
実際の楽譜では、作曲家や版によって使い分けが曖昧な場合もありますが、この区別を意識すると解釈がしやすくなります
他の関連用語との比較
- in tempo 👉 厳格なテンポで(rubatoの対義語として使われることも)
- a piacere / ad libitum 👉 自由に(テンポを自由に解釈せよ)
- tempo primoのバリエーション 👉 Tempo II(2番目のテンポに戻せ)など
4. 実際の演奏での扱い方
- 自然な復帰が重要 👉 急にガクッと元の速さに戻すのではなく、滑らかに・音楽的に元のテンポにシフトします。メトロノーム練習では、変化前のBPMをしっかり覚えておき、指示が出たらすぐにその値に戻す意識を持ちましょう
- 組み合わせ例
- rall. … a tempo → だんだん遅くした後、元の速さに戻す
- accel. … a tempo → だんだん速くした後、元のテンポに
- rubato … a tempo → テンポを自由に揺らした後、厳格なテンポに戻す
- dim. e rall. … a tempo → 弱く遅くした後、元のテンポ・強弱に戻す
- 注意点 👉 ロマン派作品では感情表現として少し柔らかく戻す場合もありますが、古典派では比較的明確に復帰します。全体の音楽的流れを崩さないよう、指揮者や奏者の解釈に委ねられる部分もあります
まとめ
a tempo = 「もとの速さで(直前の主テンポに戻して)」
rit.、rall.、accel.、rubatoなどの速度変化や表現の後で、音楽を「リセット」して元のテンポに戻す重要な指示です。Tempo I(最初のテンポに)と似ていますが、a tempoはより局所的な復帰を意味します
実際に楽譜を見ながら聴くと感覚がつかみやすいです
例えば…
- ショパンのノクターンやワルツで、rall.の後にa tempoが出て元の流れに戻る部分
- ベートーヴェンやロマン派作品の緩徐楽章~主部に戻る箇所
- 前回のrubatoの後や、rall./accel.の組み合わせでよく登場
これまで解説した用語(Allegro、rall.、dim.、meno mosso、molto、dolce、andante、maestoso、meno、accel.、cresc.、rubato)と組み合わせると、
例えば「Andante rall. … a tempo」や「cresc. e accel. … a tempo」で、ダイナミックな起伏と復帰のコントラストが美しくなりますね
※個人の解釈として受け止めてください!




